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オーガニックとは?
食の安全安心が強く叫ばれる中、
『オーガニック』や『有機栽培』、『減農薬』や『無農薬』という言葉に関心を持たれる消費者が増えていますが、
実際は『オーガニック』について約8割の消費者が未だ曖昧な理解をしているとの調査結果があるそうです。
これらの表示に対する正しい知識がなければ、懸命な生産者や製造業者の努力も報われず、本当に安全安心な食環境の実現は図れないことでしょう。
オーガニックによる栽培や製造が、一般的なものに比べ具体的にどう違うのか?ここで一緒に勉強して、みなさまにもっとオーガニックについて興味を持っていただければと思います。
オーガニックコンシェルジュ
亀井 恵子
※コンシェルジュとはフランス語で
「案内人」という意味です。
日本国内において農産物の栽培方法は、農薬や化学肥料の使用程度により大きく3つに分けられると考えられます。
1 有機栽培
−いわゆるオーガニックと呼ばれるもの
【生産の原則】農業の
自然循環の維持増進を図るため
、化学的に合成された肥料および農薬の使用を避ける
ことを基本として、土壌の性質に由来する農地の生産力を発揮させるとともに、農業生産に由来する環境への負担をできる限り低くした栽培管理方法を採用したほ場において生産することを原則としています。
○
ほ場
果樹、茶木、アスパラガスなどの多年生作物の場合は、収穫前から3年以上、それ以外の農産物の場合は種をまいたり苗を植え付ける前から2年以上、化学的に合成された肥料や農薬など、禁止されている資材が使われていないことが証明されていなければなりません。
○
管理
有機栽培農産物は輸送、選別、調製、洗浄、貯蔵、包装、その他の行程において有機以外のものが混合しないように措置がとられていないといけないことや、放射線照射が行われないようにしたり、農薬、洗浄剤、消毒剤などの汚染を受けないように管理されます。
有機栽培農産物として(「オーガニック○○」や「有機○○」の名称を付けて)出荷、販売するためには、農林水産大臣から登録を受けて公正な認定を行う登録認定機関(第三者)から、認定を取得し、認定事業者にならなければなりません。
(農産物を栽培する生産者の環境や技術、管理能力を認定し、認定後も定期的に登録認定機関によるチェックを受けます。)
そのためには、有機JAS規格に基づいたほ場の管理から始まり、種苗・資材の入手、肥培管理、播種・植付け、有害動植物防除、追肥などの管理、収穫〜包装、格付検査、出荷まで生産工程管理記録をつけなければなりません。
記録にもとづき生産工程の検査を行い、検査に合格した製品に、格付の表示
(有機JASマーク)をルールに従って表示し出荷します。
『有機農産物のJAS規格』より
《化学肥料の使用程度》
当該ほ場において生産された農産物の残さに由来するたい肥の施用又は当該ほ場若しくは生育する生物の機能を活用した方法のみによって土壌の性質に由来する農地の生産力の維持増進を図ること。
《農薬の使用程度》
耕種的防除
(作目及び品種の選定、作付け時期の調製、その他農作物の栽培管理の一環として通常行われる作業を有害動植物の発生を抑制することを意図して計画的に実施することにより、有害動植物の防除を行うことをいう)、
物理的防除
(光、熱、音等を利用する方法又は人力若しくは機械的な方法により有害動植物の防除を行うことをいう)、
生物的防除
(病害の原因となる微生物の増殖を抑制する微生物、有害動植物を補食する動物若しくは有害動植物が忌避する植物若しくは有害動植物の発生を抑制する効果を有する植物の導入又はその生育に適するような環境の整備により有害動植物の防除を行うことをいう)又はこれらを適切に組み合わせた方法のみにより有害動植物の防除を行うこと。
2 特別栽培
−自然環境への配慮から、
それぞれの地域で一般的に使われる化学合成農薬、化学肥料の使用を、それぞれ半分以下
にして栽培することです。
これまでは「無農薬」や「無化学肥料」、「減農薬」と呼ばれていたもので、「特別栽培農産物」という名称に統一されました。
なお、化学合成農薬や化学肥料の削減割合については、地域における一般的な使用状況として都道府県などが定めた公正な水準と比べることにしています。
【生産の原則】
農業の自然循環の維持増進を図るため、
化学的に合成された肥料および農薬の使用を低減すること
を基本として、土壌の性質に由来する農地の生産力を発揮させるとともに、農業生産に由来する環境への負担をできる限り低くした栽培管理方法を採用したほ場において生産することを原則としていることから、有機栽培と同様、自然環境にやさしい栽培方法だと考えられます。
農薬を使用していない農産物には「農薬:栽培期間中不使用」と表示されます。
また、化学合成農薬又は化学肥料を使用している特別栽培農産物では、使用した化学合成農薬及び化学肥料の節減割合が表示されます。
『特別栽培農産物に係る表示ガイドライン』より
【減農薬の曖昧な表現】
“減農薬”と呼ばれる農産物は「それぞれの地域で一般的に使われる化学合成農薬を半分以下にして栽培したもの」を指します。
例えば○○県の慣行レベルが農薬3回使用だとします。
△△県では慣行レベルが農薬10回使用だとします。
そこで、△△県で特別栽培農産物として栽培した場合、「化学合成農薬:当地比5割減」と称して販売されているものは農薬を5回使用しているということになるのですが、
○○県の慣行栽培された農産物(農薬3回使用)と、△△県で特栽農産物(農薬5回使用)ではどちらが安全なのでしょうか?
3 慣行栽培
−農薬や化学肥料を使った従来どおりの栽培法。
作物の成長に必要な栄養を化学肥料で与え、害虫などは農薬で駆除して栽培します。
この農法の難点は、ひとつは、農薬そのものの害…散布する本人への直接的な害と、残留して野菜とともに口に入ることによる消費者への二次的な害があります。
農薬は益虫にも影響するため、長い年月をかけて豊かな土を作ってくれた微生物などが減ってしまうという、土への影響もあります。
同じく、化学肥料は作物の栄養しか考えられていないため、微生物の食物にはならず、結果的に土がやせてしまうことが考えられます。
その反面、形もよく虫に食われた形跡など全くない、ある意味キレイな農産物が手頃な価格で手に入るというメリットがあります。
《栽培時の農薬及び化学肥料の使用程度》
一般の農家が普通行っている栽培方法であり、栽培時の農薬や化学肥料の使用程度は各地域によって異なっている。
簡単にご説明させていただくとこんな感じなのですが、ご覧いただいてお分かりの通り、有機栽培には生産から販売まで全てが規定に基づいて行われます。
また、有機栽培として生産、製造、販売するためには、登録認定機関から認定を受ける必要がありますので、生産にかかる労力だけではなく、生産工程管理記録の手間や様々な手続き、そして費用がかかります。
「オーガニック食品=高い」とお感じの方も少なくないと思いますが、高値で販売される裏側には、消費者に安心していただくために認定を取得し、こういった手続きにかかる費用も含まれていることを知っていただきたいと思います。
※農薬について「
農産物に重大な損害が生ずる危険が急迫している場合
であって、
耕種的防除、物理的防除、生物的防除又はこれらを適切に組み合わせた方法のみによってはほ場における有害動植物を効果的に防除することができない場合にあっては、
一部環境にやさしい農薬
(組換えDNA技術を用いて製造されたものを除く。以下同じ。)の使用が認められています」と『有機農産物のJAS規格』より定められています。
↓
近接したほ場等又は当該ほ場内で有害動植物が発生しており、又はこれまでの経験から発生が相当の確度で予測され、これを放置しておくと当該農産物に多大な被害が予測される場合に限ります。
※肥料について「当該
ほ場又はその周辺に生息または生育する生物の機能を活用した方法のみによっては土壌の性質に由来する農地の生産力の維持増進を図ることができない場合
にあっては、
認められた肥料及び土壌改良資材(製造工程において化学的に合成された物質が添加されていないものに限る。)に限り使用
することができます。」と『有機農産物のJAS規格』より定められています。
「有機栽培」と言えば「無農薬、無化学肥料」という認識をされていることと思いますが、現状として、
結果的にやむを得ず
指定された農薬や肥料や土壌改良資材を使い、有機JASマークが貼られたものが、有機/オーガニックとして市場に出荷される場合もあります。
ここの部分だけを強調して、「結局オーガニックも安全とは言えないのではないか」と捉える方や、「何を信じて食べればいいの?」と悲観される方も少なくないと思われますが、まずこの点に消費者が陥っている誤解があると考えられます。
オーガニックのみならず、あらゆる可能性を含めれば、
『ゼロリスクの食品』は無い
、つまり「食」には何等かのリスクが含まれざるを得ないものです。
(地球上での人間の生産や生活活動が盛んになり、環境に与える影響が大きくなるにつれて、農業と環境とのかかわり合いについても関心が高まってきています。)
ここで「よりリスクの低い食材を選ぶ」ということが大切であり、有機栽培の規格内容と比べ、他の食品のリスクを考えることで、オーガニックの安全性が測れるものといえるのではないでしょうか。
真摯にオーガニックや有機であることにこだわり、市場ではわずか1パーセントにも満たないオーガニックの農産物や加工品にどのようなハードルがあるのか、みなさまに正しく理解していただき、その上で「食の安全」についてご判断いただきたいと思います。
【オーガニックと環境保護】
農業はもともと自然の生態系を活かしながら営まれる産業として、水と緑豊かな国土の形成とその保全に貢献してきました。
しかしながら、化学農業が発展するとともに、農薬や化学肥料が水質や土壌を汚染し、生態系のバランスをも崩してしまいました。
「食費をできるだけ削りたい」ということから、
安価な食材を求める消費者も多く、ポストハーベストで問題となっている輸入食品や、農薬や化学肥料を使用した食材がスーパーのほとんどを占めているのが現状です。
「健康」だけを追求しオーガニック/有機食品を求めるのであれば、個人的な問題なので、人それぞれ好きなものを購入すればよいと思うのですが、私たちが毎日食す野菜や果物等の農産物は、「健康な地球あってのもの」です。
※「ポストハーベスト農薬」の「ポスト」は「後」、「ハーベスト」は「収穫」を意味し、収穫後の農産物に散布する農薬のことを言います。
日本で「ポストハーベスト農薬」の使用は認められていませんが、諸外国では、農産物を長期保管する目的で、また輸送中の害虫やカビなどの発生による品質低下を防ぐため、広くその使用が認められています。
利便性や低コストを追求するあまり、環境汚染や、生態系のバランスをも崩してしまったということを、農業に携わる人たちだけでなく、消費者である私たちも知る必要があるのだと思います。
地球は人間だけのものではない… ということも。
もちろん、昔の生活に戻ることが出来ようはずもありませんが、少なくとも今持つ私たちの智慧や技術を、今後は『自然との共生』へと向かわせることは可能だと思います。
そしてそれを行うのは、私たちの現在のためというより、私たちの子供達、そしてその子供達の『将来の生命のため』です。
有機/オーガニックと表示する農産物を作るには、ほ場から農薬や化学肥料を排除しなければななりません。土づくりや生産の過程で病害虫を防除するために虫や微生物、合鴨などの力を借りることもあることから、自然界に生きる生物と上手に共存することにより、有機農法は成り立つものと考えられます。
有機栽培や特別栽培は「環境への負担をできる限り低くした栽培管理方法」を実施している農業なので、今後増えることを期待しています。
そのためには、消費者である私たちがオーガニックの意味を理解し、心を込めて手間と時間をかけて作物を作っていただいている農家さんを応援する意味でも、また、環境保護に貢献するという意味でも、少し高い有機農産物を購入する人が増えることを願っています。
今回のお話では「オーガニック/有機栽培」についてを取り上げていますが、有機JASの認定事業者でない農家さんでも、環境保全型農業を推進し、無農薬、無化学肥料による自然農法をされている農家さんもたくさんいらっしゃいます。
小さい農家さんでは、認定に必要な記録を作成したり、手続きにかかる費用を負担することはとても大変なことだと思います。
そういった農家さんを支えるという意味でも、私たち消費者は「有機JASマーク」だけにこだわらず、本物を見極め、私たちが購入することで自然農法を続けていける仕組みづくりができたらと思います。
最近「ロハス」という言葉が流行になりつつあるようですが、流行で終わってしまうのではなく、意味通り「継続可能なライフスタイル」として続くことが、明るい未来を作るのです。
無理をせずにできる範囲のことからでいいので、ロハスを始めてみませんか?
※ロハス〜LOHAS(Lifestyles Of Health And Sustainability)とは、地球環境保護と健康な生活を最優先し、人類と地球が共存共栄できる持続可能なライフスタイルと、それを望む人たちの総称です。
参照資料:
人にも地球環境にも優しい有機食品知っていますか?
有機農産物の日本農林規格
特別栽培農産物に係る表示ガイドライン
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